中古マンション購入のデメリットでも書きましたが、中古マンションの建て替えはなかなか進まないのが現状です。
ではいったい何が問題で進まないのでしょう?考えられる理由と現状について、問題点を幾つかご紹介します。
建替えするには、マンション所有者の5分の4以上の賛成が必要
建替えを行うには、マンション所有者(住民)の5分の4以上の賛成が必要です(3分の2以上に引き下げる予定)。この「5分の4」という数字はほとんど難しいというのが現状なのです。
その理由は、長期的に積み立てをしてこなかったマンションが建て替えとなると、莫大な建築資金が必要になるからです。
中古マンションであればあるほど、1人暮らしの高齢者が多くなります。そうなると新たな支出やローンを組みたがらないのが現状です。
また、まだ住宅ローンが残っているファミリーもいるので、必要な資金を準備できないことが多く、反対されがちです。
以前の記事でも書きましたが、旧耐震以前のマンションは124万戸あり、その内建て替えされているのが1万6600戸です。現実は1%程度しか行われていません。
もし建替えが可決された場合、少数の反対者側に入った場合は?
賛成5分の4以上で建替えすることになった場合、その建替えに賛成しなかった少数者は、時価で売り渡すことを強制されます
参考:[建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)]の第八節:復旧及び建替え
また上で紹介した高齢者や住宅ローンが残っているなどの理由で、必要な資金を準備できない人も同様です。
時価の算定手法は確立していませんが、「敷地の更地価額から現存建物の取り壊し費用を控除した額」など。場合によっては、少額で住む場所を失う恐れがあります。
そうなってしまうと不本意な売渡になってしまいます。
まとめ
マンション所有者の5分の4というのはほとんど難しいというのが現状としてあります。1%ちょっとしか建替えされていないというのが問題点を表しています。
最近のマンションだと、所有者とのコミュニケーションが取れていて、新築時から建替えの場合の条件なども出ているので、少しずつ積み立てたりしているマンションも増えています。
しかし、かなり以前に建てらた老朽化したマンションは、そういう計画がされずに現在に至ります。老朽化が進み、空き家が目立っている物件も増えています。
それでは益々、建築資金が集まりにくくなり、現状維持でスラム化が進んでいるのです。