中古マンションには新築マンションには無いメリットがあります。もちろんデメリットもいくつかあります。
検討されている方は購入前に知っておくと、チェックするポイントがよくわかります。購入後に後悔したくないですからね。
中古マンション購入のメリット3つとデメリット3つをまとめてみました。
中古マンションのメリット
1.新築物件よりも安価である
マンションには一般的に、①建築コストと②地域プレミアム、③土地の価格の3つを合計した価格になります。
- 建築コスト
- 地域プレミアム
- 土地の価格
新築マンションにはこの3つの他に「④新築プレミアム」という価格が上乗せになります。新築物件を希望する方が多いので、その分価格を高く上乗せして設定しています。
| 新築マンションの価格 | 中古マンションの価格 |
| 建築コスト | 建築コスト |
| 地域プレミアム | 地域プレミアム |
| 土地の価格 | 土地の価格 |
| 新築プレミアム | - |
その「④新築プレミアム」は一度そのマンションに人が住んでしまうと終了します。次に住む方は中古物件になります。新築プレミアム価格が高ければ高いほど、その分の急落は激しくなります。
その後は中古マンションと同じ「①建築コスト+②地域プレミアム+③土地の価格」の合計に落ち着きます。
以上を踏まえると、中古マンションは「新築プレミアム」がかからず、広告宣伝費もほとんどゼロなので、その分安価になるのです。
2.立地条件が良い物件が多い
中古マンションが人気の理由のひとつに、「立地の良さ」があります。
実は、多くの中古マンションは現在の新築マンションよりも早い時期に建てられているため、駅近や都心部など、便利な場所に位置している物件が多いんです。
最近は、都心や主要駅周辺の土地がほとんど残っておらず、同じような立地に新築マンションを建てること自体が難しくなってきています。 そのため、こうした好立地の中古マンションの価値が見直されているんですね。
さらに、交通アクセスが良いエリアの中古マンションは価格が安定しやすいという特徴があります。地価が底堅いため、経年による価格下落の幅が小さく、資産としても安心感があります。
一方で、郊外の物件は人口動態や供給状況の影響を受けやすく、価格が下がりやすい傾向があります。
こうした背景から、立地の良い中古マンションを購入してリフォームするという選択は、資産価値を長く維持しやすい賢い方法と言えます。
「新築じゃなくても、立地の魅力でしっかり価値が保てる」という点は、中古マンションならではの大きなメリットです。
関連:中古マンションの内装が古かったり、部屋が汚い場合はフルリフォームで新築並みになる
3.住環境や管理の現実を確認できる
中古物件は既に建物が存在しています。その分、現地を直接確認することができます。
新築マンションは建てられる前に購入する可能性が高いので、中古のように直接現地を見ることが出来ない分、リスキーでありギャンブルでもあります。
実際に見に行くことは特に重要です。「百聞は一見にしかず」と言う通り、マンションの立地や住民の暮らしを見ることができます。
マンションは一戸建てよりもみんなで管理していくので、コミュニティが重要です。その為、購入前には必ず何度も現地を見学することをおすすめします。
現地でコンクリートもチェックしよう
関連:中古マンションのコンクリート劣化の流れと強度を調べる方法
現地のチェック場所
- 外観・エントランス
- 共用施設
- 駐車場・駐輪場
- ゴミ置き場
- 防災・防犯
- 間取り
- 日当たり・眺望・風通し
- 設備
- プライバシー
雨漏りや水漏れ、振動、騒音などの欠陥の有無を直接住戸で確認することができます。
また1年以上経過したマンションだとコンクリートの強度を見ることができます。通路やバルコニーなどの大きなひび割れ、角の部分のつなぎ目の亀裂、室内の壁の水染め、外壁のタイルがはがれかけていたりなどもチェックできます。
逆に言うと、コンクリートは1年経過しないと安定しないというのもあるので、中古マンションにはその点からもメリットがあります。
その他チェックする所は、住民の暮らしやマンションの掲示板など。売主や仲介会社を通してマンションの総会議事録を閲覧すれば、このマンションの管理状況が一目瞭然です。
総議事録を過去3年分読み込めば、その管理組合の状況はほとんど把握できます。建築の不具合、雨漏り、予算不足、管理費の滞納など全て読み取れるはずです。
そこで問題が多いと感じるマンションは避けておくのが無難です。
参考:中古ならではの安心感とメリット「管理のクオリティを確認できる」P.122より
管理の概要を理解できるので、必ず購入前には確認しておく必要があります。一緒に調べてくれる第三者機関もあります。
管理組合が機能していることがそのマンションを決める最も重要な部分です。詳しくは下の記事も読んでみてください。
関連:マンションで起こる様々な問題点と管理組合や理事会、総会について
中古マンションのデメリット
1.古すぎるマンションは耐震上危険な物件がある
1968年(昭和46年)以前のものは特に「旧々耐震」と呼ばれる物件です。その物件は全く耐震工事がされていないので、大地震がくると倒壊する恐れがあります。
建築基準法の耐震性に関する改正が過去に2度ありました。その時の基準に基づいて建てられています。改正以前となる1968年(昭和46年)以前は最も危険です。
もし中古マンション購入を考えている方は1981年に定められた「新耐震基準」以降のものを選びましょう。
最近の物件は安心です。今では2度の大きな大地震を経験して、より安全性が向上しています。耐震以外に免震も増えてきています。
参考:旧々耐震、旧耐震、新耐震基準はいつからいつまで?その違いや変更点
2.古い物件はスラム化の恐れがある
「中古マンションの選び方の基本。立地条件・耐震・管理の長期的視点が重要」の記事でも書きましたが、管理が行き届いていないマンションがあります。
空き室が増えて、管理費や修繕積立金の滞納が増えている中古マンションがあります。それは古い物件であればあるほど顕著です。
マンション住民のそれぞれがマンションについて考えていないことが多いので、管理組合が機能していません。このような中古マンションを購入してしまうと、今後非常に住みにくくなります。
こういう場所では誰かが提案しても機能しないことが多いのが現実です。高齢の単身者が多いのも関係しています。
共用廊下にゴミがあったり、照明が消えていたり、半分以上の部屋が空き室になっていないか、購入前によくチェックしておく必要があります。
このようなマンションは売れないので、賃貸住戸となっている可能性が高いです。賃貸マンションをwebで検索するなどして確認してみましょう。
3.建て替えが難しい:中古マンション購入で知っておきたいリスク
中古マンションの大きなデメリットのひとつとして、「建て替えが進みにくい」という現実があります。
理想としては「建物が老朽化したら建て替えをして新しく」というイメージがありますが、実際には多くの物件で建て替えが簡単には進んでいません。
まず、マンションの建て替えには住民の高い合意が必要です。
建て替えを進めるには、管理組合の総会で4分の3以上、あるいは8割近い賛成が必要になるケースもあり、全体の意見がまとまりにくいのが現状です。
これは、費用負担が大きいことや住民の年齢構成が影響しています。
また、修繕積立金が十分に積み立てられていないマンションも少なくありません。
国土交通省の調査でも、築年数が経つほど大規模修繕や将来の建て替え用の積立金が不足しているケースが多いと指摘されています。
さらに、住民の多くが高齢化している物件では、そもそもローンや大きな負担を負うことに消極的になりがちで、結果として建て替え議論が進まない要因になっています。
実際、日本全国で築古マンションの建て替えが進んでいる例はごくわずかです。
今までに建て替えが実施されたのは数百棟にとどまり、多数の築古物件はそのまま使われ続けています。
そのため、中古マンションを購入する際には「将来的に建て替えが現実的かどうか」を安易に期待しないことが重要です。
特に築年数が古い(※概ね築40年以上)物件では、建て替えよりも修繕で耐久性を維持していく選択が現実的であることが多いという点も理解しておきましょう。
まとめ
中古マンションの購入を検討されている方に、メリットとデメリットをご紹介しました。
部屋の内装が古いというのはデメリットには入りません。築20年をフルリフォームしたら、今の新築マンションと性能は変わらないと言われています。
メリットとデメリットの全てを踏まえると、中古マンションの比較的新しい物件を購入するのがオススメです。比較的新しい物件の方が修繕積立金や管理が行き届いていますからね。
以上の点を知っていると、中古物件の探し方も変わってきます。ぜひ現物を何度も確認してから、購入を考えましょう。


