マンションに実際に住んでみると様々な問題点が発生します。特に運営管理に関することが一般的です。
色々見ていくと日常的な管理の問題や修繕、管理費の滞納など色々な問題に直面します。
今回はマンション住人全員にかかわる問題を中心にご紹介します。
マンションで生じる問題点
マンションではたくさんの住人がいるため、色々な問題に直面します。
- 日常的なマンション管理
- これからの修繕計画
- 管理費など滞納者への対応
- 迷惑をかける入居者への対応
以上のように様々な問題が生じています。これらのマンション問題は「住人全員に関係する問題」です。
その為、全員で改善策を決定し、それらを解決していく必要があります。
最近では管理会社がありますが、やはり住人全員で解決していくという意思が必要です。
マンションの管理組合の総会決議について
マンション所有者(区分所有者)全員で1つの団体が構成されています。それを一般的に管理組合と言います。
その管理組合が総会決議を行い、マンションでの意思決定を行います。原則的に、区分所有者(住人)や議決権の多数決の過半数によって決議されます。
議決権は専有面積、部屋の面積が広い方が強くなっています。では意思決定の方法について詳しく見ていきます。
マンションの意思決定の方法
一般的なマンションの意思決定の方法を見ていきます。
- 管理組合の中に「理事会」をつくる
- 理事会で問題を議論し、まとめた議題を「総会」に提出する
- 総会で決議する
以上のような流れで問題を解決していきます。理事会・管理組合が機能していないと、問題を解決できません。
特に昔からある中古マンションなどでは問題が解決されないことが多いということをよく聞きます。
問題解決できない理由を下にまとめてみました。
マンション管理が機能していない場合の問題点
以下は、弁護士や管理実務の視点を含めて、最新の制度動向(区分所有法・マンション再生関連の改正・支援制度等)を織り交ぜながら「なぜ問題が解決できないのか」「典型的な影響」「実務的な対処の道筋」を整理したものです。
1.なぜ問題が解決できないのか、主な理由(現場でよく見る構図)
意思決定の停滞(組合内対立)
総会や理事会で意見がまとまらないと、修繕やルール改定の決議が採れず、必要な対応が先送りになります。
対立が深まると理事の選任・解任や議事運営そのものが紛争化し、管理機能が停止します。
小川不動産株式会社
住民(組合員)の参加不足・理事の“なり手不足
総会に出席しない、理事に就かないという傾向が強まると日常の管理業務が回らず、意思決定ができません。特に高経年マンションではこの傾向が顕著です。
マンション再生協会
「老朽化」と「住民の高齢化」の同時進行(いわゆる“2つの老い”)
建物が古くなるほど修繕費用や対応が増える一方、住民の高齢化で意思決定・実務遂行能力が落ち、結果的に必要な修繕や安全対策が行えないケースが増えています。
マンション再生協会
空き室・投資用所有者の存在
所有者が遠隔地にいる・所在不明・投資目的で放置されている住戸が多いと、総会の定足数や議決率が確保できず、合意形成が難しくなります。
これが修繕積立金不足やルール改正の阻害要因になります。
note(ノート)
財政(修繕積立金)の不足
長期修繕計画に見合った積立がされていないと、大規模修繕が実施できず劣化が加速します。積立不足は管理不全の決定的要因になります。
2.具体的に起きる問題(住戸・共用部・周辺環境への影響)
- エレベーターや給排水設備の点検・修繕が滞り、安全性が低下する。
- 共用部の清掃や防犯管理ができず資産価値が下がる。
- 駐車場・使用権をめぐる古い規約が障害となり、運用・収入確保が困難になる場合がある
(※駐車場の専用使用権など、元地主や開発事業者に有利な旧規約の存在に注意)
3.「管理規約」がハードルにもなる — 規約に関するポイント
総会・理事会の運営ルールや議決要件(定足数・特別決議の比率)は管理規約で定められており、古い規約のままだと現状に合わない手続き要件が合意形成を阻むことがあります。
規約変更は可能だが、手続きや決議要件の整理が必要です。
駐車場の専用使用権等は、規約に根拠がある場合、変更には慎重な手続き(場合によっては高い決議要件)が必要で、早期放置が被害を拡大することがあります。
4.実務的な対処フロー(弁護士・管理士の推薦手順)
以下は現場で即使える優先順位付きアクションです。
現状把握(緊急度の判定)
安全に直結する設備(エレベーター、配管、外壁等)の状況と財務(修繕積立金残高、未収金)をまず把握。
規約・決議要件のチェック
現行の管理規約が総会や規約変更の障害になっていないか確認。改正が必要なら専門家と案作成。
住民合意形成の再設計
アンケート、説明会、委任状の活用、規約変更委員会の設置等で合意形成のプロセスを分解・丁寧化する(外部専門家を入れると透明性が上がる)。
外部専門家の活用
マンション管理士・弁護士・司法書士を早期に参画させ、法的選択肢(総会運営、規約改正、裁判所申し立て等)を並行検討する。
緊急時の法的手段
管理組合が機能不全で住民の権利が侵害される場合、裁判所による管理者選任や所有者不明専有部分の管理制度などを検討(最終手段として有効)。
国・自治体の支援制度の活用
管理計画認定、補助金・減税措置、低利融資などを活用して資金繰りと再生計画を立てる。
まとめ
管理会社が全ての問題を解決できるわけではありません。自分たち住人が管理するという意識を持つ必要が肝心です。
理事が順番に回ってくることで、自分たちも積極的に、管理組合の運営に参加していくようにしましょう。
中古マンションを購入を検討している方は、マンション管理が実際に行われているのか、コミュニティが機能しているのか、理事会や総会が開催されているのか、管理規約が問題になっていないか、といったことを仲介業者や売主を通じて確認しておくことが重要です。
聞きづらいことではありますが、マンション購入後に管理問題に気が付いても遅いですからね。
また、重要事項説明書に「管理委託先」があるので、そこに載っている管理会社を確認するようにしましょう。
対立があったりしたときは背景に色々な問題が隠れています。問題があるマンションを控えた方が良いでしょう。
参考(重要出典)

