マンションそのものの費用以外に、毎月支払う必要があるのが管理費、共益費、そして、修繕積立金です。
前回、管理費と共益費について書いたので、今回は修繕積立費についてです。
修繕積立費とは?一体何に使われているのか?、積み立て方の2つの方法、そして現状報告についてもご紹介します。
修繕積立費とは?
マンションの修繕積立費とは、長期的なスパンで計画的に行われる修繕のことを指します(毎日の短期的なものは「管理費」)。その時のために住人が積み立てていく費用になります。
- 一定年数毎に計画的に行われる修繕:外壁補修、屋外防水、給排水管の交換、床防水、エレベーターの取替え、エントランスの模様替え
- 不測の事故や特別の理由で必要になった修繕
- 敷地や共用部分の変更
- 建物の建替えでの合意形成に必要な調査
管理費と同じく区分所有者(住人)は、修繕積立金を管理組合に納入する必要があると、国土交通省のマンション標準管理規約によって決まっています。
では計画的に行われる修繕とはどういうものでしょうか?
目的は大規模修繕のため
マンションでは修繕積立金で、以下のような大規模修繕が行われています。
- 4〜6年周期:非常階段の手すり、鉄部の補修と塗装
- 12年周期:外壁塗装の塗替え、屋上防水の補修・修繕、バルコニー床防水の修繕
- 15年周期:電灯設備の取替え
- 24年周期:集合郵便受けの取替えなど
- 30年周期:エレベーターなどの電気設備又は交換、給排水管の取替え(サビや腐食しやすい材質部分は15〜20年、耐久性の高い材質は25〜30年)
よくマンション外壁を網で囲い見えなくして、外装塗装を行っているのを見かけます。これはある一定の周期が来たので、修繕積立金を使い壁の塗り替え(外壁塗装)をしているのです。
その他では、雨漏り対策として屋上やバルコニーの防水も行われています。
「修繕積立金」2種類の積み立て方
修繕積立金の積み立て方には2種類の方法があります。一つは均等積立方式、もう一つは段階増額積立方式と言います。
1.均等積立方式
均等積立方式は、初年度から一定の金額で修繕積立費を積み立てていきます。
非常にわかりやすいのが特徴です。新築の場合は特に、初年度から10年ほどは全てが綺麗で劣化しないというのもあり、最初は無駄が多いというのがデメリットとしてあります。
(11年目あたりから修繕工事をすることが増えるのが統計で出ています「修繕工事費が10年まではほとんど発生しないが、11年目から増える」)。
2.段階増額積立方式
段階増額積立方式は、積立金が一定ではありません。始めは安く、だんだん高くなるように設定されています。
これは均等積立方式に比べて無駄がありませんが、途中から金額が高騰するのでしんどくなります。
上で紹介した12年周期、15年周期などの修繕や取替えはよく行われていますが、それ以上の年数での修繕計画は行われていないのが現状です。
長期修繕計画が行われていないのが現状
では実際のところ、マンションは長期的な修繕計画はなされているのでしょうか?
国土交通省の「平成20年マンション総合調査」「平成25年マンション総合調査」によると25年周期、30年周期以上の計画を立てているかというアンケートに、以下のような結果、統計が出ています。
25年周期以上の修繕計画はたてているか?
- 平成20年度:37%
- 平成25年度:46%
この統計を見てみると、以前に比べると長期スパンでの修繕計画は増えてきているものの、依然として半数以下というのが結果が出ています
新築時に30年周期以上の修繕計画はたてているマンション割合
- 平成20年度:51%
- 平成25年度:81%
新築マンションの場合は、購入時から長期スパンでの修繕計画がされていることが増えてきたのは良いことです。(見方によっては19%がなされていないという現状も)
初年度からでも積み立てていくことが長期的な修繕には欠かせません。
マンション購入時に30年程度の期間で、長期修繕計画をされているのかを確認するようにしましょう。
なされているマンションは結果的に長持ちするマンションであり、良いマンションを見分ける一つにもなります。
最後に
修繕積立費は1㎡あたり何円というふうに決まっています。そのため、部屋の大きさによって金額が変わってきます。
新築だと長期的な修繕計画がされているマンションが多くなってきましたが、中古の場合は、なかなかプランがなされていないのが統計から出ています。
建物の廊下を防ぎ、マンションをより長持ちさせるには定期的な修繕か欠かせません。
新築であれ中古物件であれ、修繕積立金については購入前に「計画書」をチェックするのを忘れないようにしましょう。特に30年後の長期計画があるのかを確認してみてください。