高層タワーマンションは、立地条件がよく快適で、眺めも良いことから、実際に住んでみたい人気のマンションです。
私も知人のタワーマンションに花火の時だけお邪魔しています。景色や夜景を一望できるので住んでみたくなる気持ちはよくわかります。
そのタワーマンションの最大の問題は地震です。
耐久については制震構造と免震構造を採用しているので、地震対策には万全なのですが、それ以外に問題があります。
それは地震による停電でエレベーターが長時間停止してしまうという問題です。
地震は収まっているのにエレベーターが停止してしまい、下に降りられない、または家に戻れないということが起こりうるのです。
今回はエレベーターが停止した場合の超高層マンションについて、どのようなことが起こりうるのか、過去の大地震を参考にまとめてみたいと思います。
高層マンションとエレベーター問題
高層マンションに住んでいる人が東日本大震災で一番困ったことと言えば、停電によりエレベーターが長時間停止したことです。
地震後5時間エレベーターが停止しており、その後も余震が断続的に続くので、怖くて外出することができなくなったというニュースで見ました。
長時間エレベーターが停止すると、階段で乗り降りする必要があります。それだけでも一苦労。買い物に行くのも大変だったそうです。
このようにエレベーターが使えなくなることで、移動手段を失い、身動きが取れなくなることがありえます。
特に高齢者には大問題。これが今話題になっている「高層難民」です。
エレベーターが停止後、なかなか復旧しない原因
最近のエレベーターは進化しています。
地震の揺れを感知する、または緊急地震速報の情報を得た場合は、最寄り階に緊急自動停止し、外部との連絡がとれるようになっています。
安全面には万全の対策がされていて、停電による孤立が起こらないような対策もされています。
ただ一度停止すると、保守担当者による復旧点検作業が入ります。
これが一箇所だけなら良いのですが、大地震の場合は停止したエレベーターが多発するので、人出が足りなくなり長時間による停止を余儀なくされてしまいます。
これが長時間エレベーターが動かない、復旧しない原因です。
非常用エレベーターの設置を義務化
31m以上の高層マンションで大規模停電が起こった時の場合、現在では非常用エレベーターの設置を義務付けています。
※はしご車が届かなくなる距離が31m。
- 高さ31mを超える建築物には、非常用昇降機(エレベーター)を設ける(建築基準法施行令 第34条第2項)
- 予備電源がある照明設備を設置(建築基準法施行令 第129条の13の3 第三項 6)
- 消火栓、排水管の放水口、非常用コンセントの設置(建築基準法施行令 第129条の13の3 第三項 8)
- 非常用エレベーターに、予備電源を設ける(建築基準法施行令 第129条の13の3 第十項)
参考:建築物施行令
非常用エレベーターは救助や避難をすることを想定し、電源装置や燃料が確保されています。
自動復旧システムが作動し、低速運転で移動。その後は保守担当が点検後に通常に戻します。
この非常用エレベーターは臨時しか動かないというわけではなく、日常から普通のエレベーターと一緒に作動しています。
最後に
高層マンションは上層階であればあるほど、大地震などによる停電でエレベーターが停止した時に、移動手段が機能しなくなります。
非常用エレベーターが設けられてはいますが、性能も異なってくるので、非常時に備えて先に知っておくようにしましょう。
また、途中階に災害備蓄倉庫が設けられているマンションも増えてきているので、そのマンションの災害時の対策について知っておくことが重要です。
最近は各都道府県による防災対策で、高層マンションへの防災規定を追加しています。
もしこれからタワーマンションに住む予定の方は、その地方の防災対策と制度をチェックし、そのマンションが該当しているかを確認しましょう。
耐震基準・耐震等級など、まとめ