最近、話題になっているのが金融庁による「公的年金以外に老後資金が2000万円必要」という表現です。
報告書を読むと、内容が実はそうでないことはよくわかりますが、それでも老後資金はできるだけ多く準備しておくことは、計画の中に必要です。
マンションや一戸建ての住宅ローン完済がこの老後資金の蓄えと大きく関係してくるのは間違いないでしょう。
そこで今回は住宅ローンの返済と老後資金の関係について紹介します。
金利の低下による住宅ローンの借りすぎ問題
最近の住宅ローンが低金利となったことで、以前までは不可能だった方にも住宅ローンが組めるようになりました。
住宅ローン金利が低くなると、マンションや一戸建て購入が実現できるという良い面がありますが、毎月の返済額を少なくすることで、住宅ローン完済の時期が後にずれこみ、長期化している方が増えているのです。
ここ何年かは物件価格が上昇しすぎていることもあり、借入額が多くなり、返済期間が長くなっているのです。
このような方は住宅ローン完済には、退職金を使ったり、65歳〜70歳までに住宅ローンを完済するというプランにしている方が増えていることがわかりました。
住宅ローンを退職金で一括返済したり、70代までに完済する計画だと老後資金の蓄えができない
住宅ローンを組める条件の中に退職金で一括返済したり、70代までに完済する住宅ローンの方が増えています。
- 住宅ローンの最後は退職金で一括返済する
- 70歳までに住宅ローンを完済する
このような住宅ローンを組み方をする方の多くは、30代後半から40代前半で住宅ローンをスタートした方がほとんどです。
その年齢から30年間住宅ローンを返済し続けると、60歳〜70歳に完済する形になってしまいます。
そしてどうしても返済しきれないとなると、退職金で一括返済するという計画になってしまうのが現状です。
こうなると、退職後に老後資金が不足してしまい、いわゆる老後貧乏という流れになってしまいます。
このような家族が多いので、冒頭に出てきた金融庁による「公的年金以外に老後資金が2000万円必要」という話に「それは無理だ、困る」となってきてしまいます。
多額の住宅ローンを組んでいる人ほど老後資金が不足する結果になる
30代後半〜40代前半で住宅ローンを組め方は、60歳を越えた時点でまだ1,000万円も住宅ローン返済が残っているということもあり得ます。
それと同時に、子供が大学への教育費と重なってくるので、住宅ローンと教育費が重なってきて、途中から費用が多く必要となることで無理なく完済できる道が遠くなってしまうのです。
住宅ローンを組んだ時に「余裕が出てきたら繰り上げ返済しよう」という考えを持っていたと思いますが、教育費の負担や収入ダウンになったりとすることで、以前考えていたよりもお金が必要になってくるのです。
このような状況で、住宅ローンを完済しようとすると、退職金で住宅ローンを一括返済するという考えに行き着いてしまうのです。
以上のことから、多額の住宅ローンを組んでいう方ほど、返済期間が長くなり、結果的に老後資金が不足してしまうという結果に陥ります。
予期せぬことを想定してリスクを減らすことで老後資金を減らさないで済む
会社員の場合は、ある一定の給料がずっと続くので安定しているように思いがちですが、会社の経営悪化や転勤、収入の低下、金利の上昇など或る日突然予定とは異なることが起こりうる可能性があります。
特に40代や50代にそれが起こると、住宅ローン完済へのプランが突然乱れてきます。
このような予期せぬことが起こるのが人生なので、多額の住宅ローンがいかに危険かがイメージできたかと思います。
予期せぬことがおこったときのためにできるだけリスクを減らしたり、その時によって適切にプラン変更をすることが重要です。
退職金を頼らない住宅ローン返済や60歳までに完済するプランにしましょう。
頭金を貯めてから買ったり、転勤の時期がなくなる年齢で買ったりと、予想外の事態が起きても対応できるようにしておきたいものです。