「もし大地震が起きたら、マンションは崩壊しないのか?」という心配は出てきます。
それについては「(基本的に)マンションが何年に建てられたのか」ということを知ることで耐震基準がわかります。それにより「大破を免れる確率がアップする」ということは以前書きました。
下がその記事です。あわせて読んでみて下さい▼
参考:旧々耐震、旧耐震、新耐震基準はいつからいつまで?その違いや変更点
では「新耐震基準であれば大丈夫か?」というと、必ずしもそういうわけではありません。マンションには形状によってバランスの悪いものを見かけます。
今回は崩壊する可能性のあるバランスの悪いマンションを5パターン紹介します。
1.平面又は断面が不整形なマンション
例えば、前から見るとL字型だったり、横から見たらコの字型だったり、上から見ると凸の字型だったするマンションのことです。
ずっと同じではなく2階からそのようになっていたりというのも含みます。
このような不整形なマンションで、エキスパンションジョイントが設けられていない建物、セットバックなどで断面形状が不整形な場合は、一部分が局所的に崩壊してしまうことがあります。
2.構造形式が途中から異なるマンション
マンションのある階から構造形式が異なるマンションがあります。例えば上層部がSRC造で、下層部がRC造など。
このような構造形式が異なる場合は、その切り替わりの階で層崩壊の被害となる可能性があります。
倒壊パターンとしては、上層階だけが横にずれるようなイメージです。これは「阪神淡路大震災」の時の神戸市役所2号館で崩壊しました。
因みに神戸市役所2号館は旧々耐震です。5階までは普通の状態ですが、6階から横にずれてしまいました。
RC造やSRC造などの意味については下の記事にまとめました
3.横に細長いマンション
横に細長い形状のマンションは、縦と横で地震の力が伝わるのにズレが生じるために被害が起こりやすくなります、これはイメージしやすいと思います。
短い方は耐震的に有効な壁として機能するのに対し、長い方には地震力が伝わるのに時間差が生じてしまうため、縦と横で異なる動きとなってしまいます。
この場合、耐震上弱い横長の方(桁行き方向)に被害が集中しやすくなります。
4.駐車場や駐輪場、店舗に利用するため、1階だけ柱を多く使って建てられたマンション(ピロティ形式)
1階を駐車場や駐輪場、店舗として使用することを目的(他の目的もあり)とした場合、1階だけ柱を多く使って空洞を造っている建物があります(上のイメージ図参照)。
このようなピロティ形式の建物は大被害を受ける可能性が高いです。例え新耐震でも崩壊の恐れがあります。
このような建物は耐力壁が少ないので、変形が集中し圧壊や層崩壊などの大被害が生じる可能性があります。
このタイプのマンションは今でもよく見かけます。余分な場所がないので駐車場や駐輪場を1階下に造っているのです。
「阪神・淡路大地震」ではこのピロティ形式のマンションがつぶれたり、倒れたりしています。
マンション探しの時には1階部分の耐震補強がされているか、補強されていないのであれば候補から外すなど考え直したほうが良いでしょう。
5.耐力壁がバランスよく配置されていないマンション
耐力壁がバランスよく配置されていない建物(上のイメージ図の赤い線参照)は、重心と剛心の位置が異なるため、剛心を中心にねじれが生じてしまいます。
剛心から遠い部分が局所的に崩壊したり、地震力の集中する剛心近くが崩壊する恐れがあります。
- 重心:建物重量の中心
- 剛心:柱・梁・耐力壁などの耐震要素の中心
まとめ
崩壊の恐れがあるバランスの悪いマンション5パターンを紹介しました。
以上の5パターンを知っておくと、新築マンションや中古マンションの購入前に、希望するマンションがよりしっかりした崩壊しにくい建物であるかを知ることができます。
そのマンションの形状を見るだけで、ここは安心、ここは危険ということがわかります。ぜひ知識として持っておきましょう。
耐震基準・耐震等級も重要です