住みたい街や住宅(マンションや一戸建て)が見つかると、気になるのが住みたい街周辺の環境についてです。
今は環境が良くても、今後予想外の建物が建設され環境が悪くなることもありえなくはありません。そうなると騒音や日当たり問題も出てきます。
都市計画法の地域地区の一つに「用途地域」というのがあります。これを知っておくと、今ある建物以外に、今後建設可能な建物を知ることができますよ。
用途地域は全部で12種類あります。一つずつ簡単にご紹介します。
1.第一種低層住居専用地域
2階建ての一戸建てや低層階アパート・マンションを主とした住宅地域しか建てられない地域です。
小さな公共施設は建設できますが、商業施設は建てられません。一番厳しい基準になります。コンビニも建てられないので、静かなエリア。所謂、閑静な住宅街のこと。
物件には最も適した場所ですが、基準が厳しいためそれほどありません。
住宅以外に建てられる建物
- 保育園
- 診療所
- 幼稚園
- 小学校
- 中学校
低層階住宅以外は、保育園、小中学校、診療所ぐらいしか建設できません。
この場所にマンションが建てる場合は低階層で、街に溶け込んだ配慮がされているので価格は割高になります。
2.第二種低層住居専用地域
「1.第一種低層住居専用地域」で建てられる建物以外に、コンビニなどの小規模店舗が建てられます。
コンビニは便利ではありますが、人の集まる場所にもなり騒音になる可能性を持っています。特に夜に騒がしくなる可能性はあります。
住宅以外に建てられる建物
- コンビニエンスストア
- 小規模店舗・飲食店(150㎡以内の店舗)
- 喫茶店
コンビニ以外には喫茶店や小さなお店、それ以外は第一種低層住居専用地域と同じです。
3.第一種中高層住居専用地域
3階建て以上のマンションやアパート、住宅街が建てられる地域。中規模な公共施設や大学、病院なども建設が可能。ただしホテルや遊戯施設は建てられません。
この地域ではどうしても中高層マンションが集中して建てられているのが、確認するとよくわかります。
住宅以外に建てられる建物
- 中規模施設・飲食店(500㎡以内の店舗)
- 大学
- 病院
- 車庫
3階建以上の中高層マンション、病院、大学が建設できます。
4.第二種中高層住居専用地域
「第一種中高層住居専用地域」の建物に加え、小規模なスーパーや事務所、店舗の建設が可能になっています。
利便施設の立地が認められています。そのため、人が集まる場所になり出入りが多くなります。
住宅以外に建てられる建物
- 小規模スーパー(2階以下、1500㎡)
- 事務所
小規模スーパーや小規模食品工場、事務所などが建設できます。
5.第一種住居地域
中規模(3000㎡以下)のスーパーや、小規模ホテル、中小の運動施設、中規模の店舗、事務所も建設することができます。日本で一番多い地域です。
住宅以外にも多く建てられることがわかりますね。仕事で訪れる方も多いので、その地域に住んでいる人以外が増えることが多いです。
住宅以外に建てられる建物
- 中規模スーパーなどの店舗(3000㎡まで)
- 小規模ホテル
- ボウリング場
- ゴルフ練習場
- 事務所
住宅以外には小規模ホテル、ボウリング場が建設可能となっています。条件の範囲内であれば工場も建設可能となっています。
6.第二種住居地域
10000㎡までの一定条件の店舗・事務所・ホテル・パチンコ店、環境の影響の小さい小規模工場を建設できます。
地域に住んでいる人以外も多く、とても騒がしくなることが想像できます。
住宅以外に建てられる建物
- ショッピングセンター(10000㎡、一定条件付き)
- パチンコ店
- カラオケボックス
- 小規模工場(環境の影響が少ない)
ショッピングセンター、パチンコ店などの建設も可能。今はなくても今後建設されると、環境が一変する可能性もあります。
7.準住居地域
「第二種住居地域」のルールに加え、小規模映画館、立体駐車場、倉庫、環境の影響の小さい小規模工場を建設できます。
映画館、車庫、倉庫が増えるので、夜まで騒がしいのがわかります。
住宅以外に建てられる建物
- 小規模映画館
- 営業用倉庫
- 立体駐車場・車庫
- 小規模工場(環境の影響が少ない)
環境の影響が少ないという条件で自働車修理工場などの建設もあり得ます。
8.近隣商業地域
準住居地域のルールに加え、ほとんどの商業施設を建設できます。延べ床面積規制がないため、中規模以上の建設が目立ちます。
商業施設が入ることから、昼夜問わず騒がしい場所になります。
住宅以外に建てられる建物
- ほとんどの商業施設
- 劇場・大型映画館
- 小規模工場(環境の影響が少ない)
9.商業地域
「近隣商業地域」の建物に加え、その他の業務の利便を増進するため(特殊営業関係)の施設を建設することができます。高層ビルも多くなります。
近隣にあると子供たちへの悪影響があるので、先に調べておくことをおすすめします。
住宅以外に建てられる建物
- 高層ビル
- 銀行
- 映画館
- 劇場
- ナイトクラブ
銀行や映画館、飲食店、デパート、オフィス中心の場所になります。もちろん住宅も建設可能です。
10.準工業地域
軽工業の工場など、環境悪化の恐れのない工場地域になります。住宅や商店を建てることも可能ですが、危険性の高い工場は建設できません。
たとえこの地域に土地を見つけても建てるのは良くないと思います。
住宅以外に建てられる建物
- 作業場床面積150㎡超の工場など
環境の悪化をもらたす恐れのない工場が中心になります。その中に住宅を建設することができます。
場所は海沿いの埋立地が多く、この場所に大規模マンションが建設されることが多い地域です。
規制が緩やかなので商業的にも工業的にも色々な種類の施設が建てられます。今はマンションだけでも、いずれ大型パチンコ店やゴミ収集場、危険物貯蔵施設などができる可能性もあることを知っておくことが必要です。
工場跡地にマンションが建つ場合は、有害な物質が土壌に含まれている可能性もあります。先に安全であるか確かめて購入を決めるようにしましょう。
11.工業地域
住宅(マンション含む)や商業施設、どんな工場も建設可能になっています。また、ホテルや旅館、劇場、映画館、演芸場なども建設できます。
どんな工場を建てられるという規約からも、ここでの生活には適していない地域になります。近くにあっても悪影響があります。
12.工業専用地域
どんな工場でも建設できます。住宅、物品販売店舗、飲食店、学校、病院、福祉施設、ホテルは建てられません。
この場所には絶対に住むことはできません。
まとめ
「用途地域」を知ることで、今ある建物と、今後建つ可能性がある建物を推測することができます。例えばバルコニー側に空き地があれば、その場所の用途地域から可能性を推測できます。
自分たちが住む街以外でも、すぐ近くに商業地域などがあれば、これまで静かだったのが、騒がしくなる可能性があるのです。
近隣の用途地域を知るだけでなく、広範囲の地域を確認するようにしましょう。自治体で調べることができますよ。
またモデルルームでは都市計画図を見せてもらえることがあるので、このあたりは必ず質問するようにしましょう。
マンションや一戸建てのチラシ・広告には必ず「共通概要」という項目が小さく書かれてあり、その中に「用途地域」も必ず記載されています。
例えばsuumoなら右端の場所、Webサイトなら物件概要に記載されています。都会だと商業施設と準工業地域など2つも記載されている物件もあります。必ずチェックするようにしましょう。